理学療法士トレーナーのタツです。
2009年〜理学療法士(整形外科分野)、2012年〜理学療法士&パーソナルトレーナーをしています。
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「毎日しっかり寝ているのに疲れが取れない」、「日中の眠気がつらい」
それ、もしかすると睡眠時無呼吸症候群(SAS)が原因かもしれません。
SASは睡眠中に呼吸が止まり、質の高い睡眠が妨げられる疾患で、放置すると高血圧や心疾患のリスクが高まる深刻な病気です。
本記事では、睡眠の質が下がるメカニズムとその原因、科学的に有効とされる改善策までを、わかりやすく解説します。
睡眠時無呼吸症候群とは?〜睡眠の質を奪う病気〜
定義と種類
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)は、10秒以上の呼吸停止が一晩に30回以上、または1時間あたり5回以上起こる状態を指します。
主に以下の2タイプがあります。
タイプ | 特徴 |
---|---|
閉塞型(OSA) | 上気道(喉)が塞がることで呼吸が止まる。SASの90%以上を占める |
中枢型(CSA) | 脳からの呼吸指令が止まることで無呼吸が起こる。心不全や神経疾患と関係あり |
なぜ睡眠の質が下がるのか?
睡眠構造の乱れ
正常な睡眠では、ノンレム睡眠(深い眠り)とレム睡眠(夢を見る浅い眠り)が交互に現れますが、SASでは無呼吸のたびに覚醒反応が起き、深い眠りに入れません。
酸素飽和度の低下
無呼吸によって血中酸素濃度(SpO2)が低下し、脳や内臓への酸素供給が不足します。
これが慢性疲労・集中力低下・免疫力の低下につながります。
睡眠時無呼吸の主な原因
1. 肥満(特に首周りの脂肪)
首回りに脂肪がつくと、仰向け時に上気道が狭くなりやすくなります。
体重が10%増加すると、SASのリスクは約6倍に上がると報告されています(Peppard et al., 2000)。
2. 顎の骨格や舌の位置
顎が小さい、後退している、または舌が大きく後方に落ちやすい構造の人は、無呼吸になりやすい傾向があります。
3. アルコールや睡眠薬の使用
筋肉の緩みを促すため、上気道が塞がりやすくなるリスクが上がります。
4. 鼻づまり・花粉症
鼻呼吸が妨げられると口呼吸になり、喉が狭くなって無呼吸を誘発します。
睡眠の質を改善する科学的な対策
1. CPAP(持続陽圧呼吸療法)
最も効果が高い治療法で、鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道の閉塞を防ぐ装置です。
ほぼすべての中〜重度OSA患者に推奨されます。
※日本呼吸器学会によると、CPAP使用によって日中の眠気改善・高血圧リスク軽減が確認されています。
2. 減量と運動
BMIを下げることで、SASの改善が見込まれます。
1日30分程度の有酸素運動+筋トレが推奨されており、体重減少が治療効果を高めます。
ただ、健康的に減量するためには、正しい知識が必要です。
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3. 横向き寝(側臥位)
仰向けでは舌が喉に落ちやすいため、横向きで寝るだけでも無呼吸の回数が減少する例があります。
抱き枕やポジショニング枕の利用も有効です。
4. マウスピース(口腔内装置)
軽〜中程度のOSAに有効で、下顎を前に出す形状のマウスピースが気道の確保に役立ちます。
歯科でのオーダーメイドが基本です。
5. 生活習慣の見直し
生活習慣 | 推奨内容 |
---|---|
飲酒の制限 | 就寝2時間前以降の飲酒を避ける |
喫煙の中止 | 喉や気道の炎症リスクを減らす |
睡眠環境の最適化 | 室温18〜22度、静音・暗所を保つ |
睡眠時無呼吸のチェックリスト(セルフチェック)
以下の項目に複数当てはまる方は、医師への相談をおすすめします。
- 大きないびきを指摘された
- 夜中に息苦しくて目が覚めることがある
- 起床時に頭痛や口の渇きがある
- 日中に強い眠気がある
- 集中力が続かない・記憶力が低下している
まとめ:睡眠の質を取り戻すには、早期の対策がカギ
睡眠時無呼吸症候群は、単なる「いびき」ではありません。
脳と体に深刻なダメージを与える疾患であり、放置すると心疾患・脳卒中・糖尿病のリスクも高まります。
しかし、正しい知識と早めの対策で睡眠の質は大きく改善します。
「しっかり寝たはずなのに疲れが取れない」と感じたら、一度専門医に相談してみましょう。
また、睡眠時無呼吸症候群を改善するものではありませんが、そもそもの睡眠の質を改善させることも重要です。
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