理学療法士トレーナーのタツです。
2009年〜理学療法士(整形外科分野)、2012年〜理学療法士&パーソナルトレーナーをしています。
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はじめに
「投げるたびに肩や肘が痛む…」、「将来を考えると故障が怖い」――野球選手なら誰もが一度は悩む投球によるケガ。
しかし、正しいフォームと身体の使い方を理解することで、多くの故障は未然に防ぐことが可能です。
本記事では理学療法士の視点から、ケガを予防するための投球フォームの基本と改善方法、リハビリのポイントを詳しく解説します。
正しい投球フォームとは?|各フェーズに潜むリスクを見極める
投球動作は6つのフェーズに分けられ、それぞれにおいてケガのリスク因子が存在します。
投球動作のフェーズと主なポイント
フェーズ | 概要 | ケガ予防のポイント |
---|---|---|
1. ワインドアップ | 姿勢準備 | バランス良く重心を安定させる |
2. ストライド | 踏み出し | 骨盤と体幹の捻転差をつくる |
3. コッキング | 腕を最大外旋 | 肩甲骨の可動性が重要 |
4. アクセラレーション | リリースまで | 肘が肩より上にあることが理想 |
5. フォロースルー | 投球後の減速動作 | 急激な減速により肘・肩に負担 |
6. リカバリー | 体勢の回復 | 左右の筋バランスと柔軟性が重要 |
フォームが崩れる原因
- 肩甲骨・股関節の可動域低下
- 体幹筋力の不足
- 骨盤の回旋力が弱い
- ストライド足の着地タイミングがずれる
■チェック方法
以下の項目を投球時の動画で確認し、「〇=できている」、「△=やや不安」、「✕=できていない」と評価しましょう。
✕が多い場合は、フォーム改善やリハビリが必要です。
では、早速チェックしてみましょう。
①準備動作(ワインドアップ)
項目 | チェック内容 | 評価 |
---|---|---|
姿勢 | 背中が丸まらず、体幹が真っ直ぐか | 〇 / △ / ✕ |
軸足 | しっかり踏ん張り、膝が安定しているか | 〇 / △ / ✕ |
グラブ側肩 | 開きすぎていないか(早期の開きはNG) | 〇 / △ / ✕ |
②テイクバック〜コッキング期(投げる準備)
項目 | チェック内容 | 評価 |
---|---|---|
肘の位置 | 肩の高さよりやや下、過度に上がっていないか | 〇 / △ / ✕ |
腰のひねり | 上体と下半身のひねりが連動しているか | 〇 / △ / ✕ |
肩甲骨の動き | 肩甲骨がしっかり寄せられているか | 〇 / △ / ✕ |
③加速期(ボールリリース)
項目 | チェック内容 | 評価 |
---|---|---|
前脚 | 着地時に膝が内側に倒れず、安定しているか | 〇 / △ / ✕ |
肘 | リリース直前、肘が伸びきっていないか(外側痛の原因) | 〇 / △ / ✕ |
骨盤 | 骨盤が前にしっかり回転しているか | 〇 / △ / ✕ |
④フォロースルー(投球後)
項目 | チェック内容 | 評価 |
---|---|---|
バランス | 投球後に体が大きくブレていないか | 〇 / △ / ✕ |
腰と肩の向き | 投球方向に向かって自然に回旋しているか | 〇 / △ / ✕ |
リカバリー | 手投げになっておらず、全身で投げた印象か | 〇 / △ / ✕ |
■総合評価(〇の数)
- 〇が10個以上:理想的なフォーム。継続と微調整を。
- 〇が7〜9個:一部に改善点あり。フォームの再確認を。
- 〇が6個以下:負担の大きいフォーム。専門家の指導を推奨。
■補足:チェック時のポイント
- 正面・横・後方の3方向から動画を撮影すると正確な分析が可能です。
- 練習中だけでなく、試合中の映像も参考にしましょう。
- フォームは成長とともに変化します。定期的なチェックが重要です。
理学療法士が推奨するケガ予防トレーニング
理学療法士の立場からは、フォーム修正だけでなく、可動域・筋力・協調性の改善がケガ予防に直結すると考えます。
柔軟性向上
- 肩甲骨モビリティ:壁に手をつけての内旋・外旋エクササイズ
- 股関節ストレッチ:大臀筋・内転筋を重点的に
筋力強化
- 体幹トレーニング:プランク、ドローイン
- 肩周囲筋群:インナーマッスル強化(チューブを使った外旋運動)
動作の再教育
- 鏡や動画を用いたフォームフィードバック
- 理学療法士やトレーナーと連携した段階的な動作学習
リハビリの進め方|ケガ後の再発予防も重要
ケガをしてしまった後も、正しいリハビリと再発予防が非常に重要です。
リハビリの流れ(例:野球肩の場合)
- 急性期:炎症のコントロール(RICE処置、物理療法)
- 可動域回復期:関節モビリゼーション、PNFストレッチ
- 筋力再獲得期:チューブ運動、スタビライゼーション
- 投球再開期:段階的なスローイングプログラム
ポイントは「痛みのない範囲で徐々に負荷を上げる」こと。
自己流で再開すると再発のリスクが高まります。
まとめ|フォームと身体づくりがケガ予防のカギ
野球での投球障害は、フォームの崩れと身体の準備不足が大きな要因です。
理学療法士としては、動作解析+身体機能の最適化によって、長く競技を楽しめる身体づくりを支援しています。
◆ポイントまとめ
- 投球障害は肩・肘に多く、フォーム崩れや筋力不足が原因
- 投球は6フェーズに分かれ、各段階でケガのリスクがある
- 柔軟性・筋力・フォームの再教育がケガ予防の基本
- ケガ後は段階的なリハビリが再発予防に不可欠
◆アクションを起こそう!
- 自分の投球フォームを動画で確認してみよう
- 肩・股関節の柔軟性チェックをしてみよう
- ケガを繰り返している場合は、理学療法士に相談して身体評価を受けよう
- チームでのウォームアップ・クールダウンを見直そう
◎また、スポーツ選手は普段からセルフケアをしてケガを予防したり、ケガをしてしまった部位をできるだけ早く治したりしなければいけません。
そのための、オススメのセルフケアグッズをご紹介します。
普段から使用できるもの(ストレッチポールなど)やケガをしてしまった時に使用するもの(マイクロカレント、超音波など)がありますので、是非活用してみて下さいね👇