理学療法士トレーナーのタツです。
「投げるたびに肩が痛い」、「痛みが気になって本来のフォームが崩れてしまう」
そんな悩みを抱えている野球選手、特にピッチャーや外野手に多く見られるのが野球肩(やきゅうかた)です。
このブログでは、野球肩の病態・原因・治療法を科学的に解説し、自宅でできるリハビリや再発を防ぐ予防法を詳しく紹介します。
正しい知識を得て、肩の痛みを改善し、再び全力投球できる身体を目指しましょう。
野球肩とは?
野球肩は医学的には「投球障害肩」とも呼ばれ、繰り返される投球動作により肩関節周囲の筋肉・靱帯・関節唇などに障害が起きた状態です。
野球肩の主な発症要因
- 過剰な投球数(オーバーユース)
- 投球フォームの崩れ
- 筋力・柔軟性のアンバランス
- 成長期の骨の未成熟(ジュニア期に多い)
野球肩の主な症状と種類
1. 腱板炎(けんばんえん)
症状:肩の前側や外側の痛み、投球時に鋭い痛みが出る
肩を回す腱板筋群(特に棘上筋)が炎症を起こし、動かすたびに痛みを感じる。
2. 上腕骨骨端線離開(リトルリーガーズショルダー)
症状:成長期の子どもに多く、肩のだるさ・鈍痛・投球力の低下
成長軟骨にストレスが加わることで炎症や損傷が起きる。
3. 関節唇損傷(SLAP損傷など)
症状:投球時の引っかかり感、深部の痛み、関節の不安定感
肩関節の安定構造である関節唇が損傷されると、慢性的な痛みやパフォーマンス低下を招く。
野球肩の診断と治療法
診断方法
- 整形外科での問診・徒手検査(Neerテスト、Hawkinsテストなど)
- 画像検査(X線、MRIなど)
保存療法(手術をしない治療)
- 安静・投球の中止(目安:2〜4週間)
- 消炎鎮痛処置(アイシング、湿布、薬物)
- 理学療法(ストレッチ・筋力強化)
- フォーム改善指導
手術療法(重症例)
関節唇損傷や腱板断裂など、保存療法で改善しない場合に適応。
自宅でできる野球肩リハビリメニュー
理学療法士として推奨するリハビリは、肩の安定性を高め、柔軟性を回復させることがポイントです。
以下に効果的なメニューを紹介します。
1. 肩甲骨モビリティ(肩甲骨はがし)
目的:肩甲骨の可動性改善と筋緊張の緩和
- 四つん這いになり、片手を体の下から通して肩を伸ばす
- 20秒キープ(左右2〜3回ずつ)
ポイント:肩甲骨がリラックスする範囲で行う
2. チューブ外旋運動(ローテーターカフ強化)
目的:インナーマッスル(棘下筋・小円筋など)を鍛える
- チューブをドアノブに固定
- 肘を90度に曲げ、体側に固定したまま手を外に開く(外旋)
- 15回×2セット(左右)
ポイント:肩がすくまないように注意
3. Y・T・W体操
目的:肩甲骨周囲筋(僧帽筋・菱形筋)の活性化
- うつ伏せで腕をY・T・Wの形に持ち上げてキープ(各10秒)
- 各ポジションを2〜3セット繰り返す
ポイント:反動を使わず、ゆっくり持ち上げる
4. コッドマン体操(振り子運動)
目的:肩関節の緊張を取り、滑らかな関節運動を誘導
- 前傾姿勢で腕をリラックスさせ、振り子のように前後・左右にゆらす
- 1回1〜2分、痛みのない範囲で
ポイント:完全に力を抜いて行う
野球肩の予防法
1. ウォームアップとクールダウンの徹底
- 肩甲骨・肩関節・体幹の動的ストレッチを取り入れる
- 運動後はアイシングと静的ストレッチで疲労を取り除く
2. 投球制限の管理(特にジュニア世代)
- 1日80球以下、週350球以下が目安(日本整形外科学会の推奨)
3. 体幹・股関節の筋力強化
- 投球フォームの安定には肩だけでなく全身の連動が必要
- スクワット、プランク、ブリッジなどの全身運動も並行して行う
4. 定期的なフォームチェック
- コーチや理学療法士と連携し、肩への負担が少ない投げ方を習得する
まとめ:野球肩の原因とリハビリ
- 野球肩はオーバーユースと機能不全が主な原因
- 保存療法を基本に、肩甲骨とインナーマッスルの機能回復がリハビリの鍵
- 再発予防には、フォーム改善・筋力バランス・投球制限の管理が必要
野球肩は正しい知識とリハビリにより、多くの場合で改善が可能です。
痛みを無理に我慢せず、早期の対処と継続的な予防習慣が競技復帰の近道です。
あなたの肩を守るのは、あなた自身のケアから始まります。
また、ストレッチやトレーニングなども重要ですが、早期に競技に復帰するためには患部の修復を促進することも重要です。
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