理学療法士トレーナーのタツです。
2009年〜理学療法士(整形外科分野)、2012年〜理学療法士&パーソナルトレーナーをしています。
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はじめに
テニスは「技術」だけでなく「動作効率」が結果を大きく左右するスポーツです。
プロ選手がスムーズで力強いフォームを実現している理由は、筋力や練習量だけではありません。
実はバイオメカニクス(身体運動の科学)を理解し、効率的な身体の使い方を身につけていることが鍵なんです。
本記事では、理学療法士の視点からパフォーマンスアップとケガ予防に直結するフォーム改善法やトレーニング戦略を解説します。
テニスにおけるバイオメカニクスの重要性とは?
■ バイオメカニクスとは?
- 身体運動を力学的・構造的に解析する学問
- 「なぜそのフォームが効率的か?」、「なぜその部位に負担がかかるのか?」を科学的に解明
■ テニス動作における特徴
テニスの主な動作(サーブ・ストローク・フットワーク)は以下のように整理される:
動作 | 特徴 | 鍵となる要素 |
---|---|---|
サーブ | 爆発的な全身連動の3D動作 | 体幹回旋・肩関節可動域・股関節伸展 |
フォア/バック | 回旋+踏み込みの運動連鎖 | 下肢の踏み込み・胸椎回旋 |
フットワーク | 反応速度+荷重移動 | 股関節・膝関節の安定性 |
テニス動作別|フォーム改善のバイオメカニクス的ポイント
【1】サーブ動作の分析と改善
- 問題点例:肘が下がる/腰を反りすぎる/タイミングが合わない
- 原因:胸椎伸展不足、股関節伸展力不足、体幹不安定
改善ポイント:
- 肩甲帯と胸椎の可動性を高め、肘の軌道を高く保つ
- 股関節と体幹の「連動性」で地面反力を伝える
- コア(腹横筋・多裂筋)を安定させて腰の過伸展を予防
【2】フォアハンド・バックハンドストローク
- 理想の連鎖:
足部 → 下腿 → 股関節 → 骨盤 → 胸椎 → 肩 → 前腕 → ラケット - 問題点例:肩が先に開く/スイングが浅い/肘が浮く
- 原因:股関節内旋力不足、体幹回旋力の弱さ、グリップ・手関節の硬さ
改善ポイント:
- 股関節で捻転差(肩と骨盤の回旋差)を作る
- 胸椎回旋と肩甲骨の可動性を高める
- 肘の「たたみ込み」→「伸展」までをスムーズに
【3】フットワーク・方向転換
- 重要性:最初の1歩の爆発力と方向転換の柔軟性がラリー支配のカギ
- 問題点例:内股歩き/膝のねじれ/足部の過剰回内
- 原因:中殿筋の筋力不足、足関節の不安定性、重心コントロール低下
改善ポイント:
- 股関節外転筋(中殿筋)の強化
- 足部トレーニング(タオルギャザー、バランス練)
- 「接地→荷重→抜重」のスムーズな流れを意識
理学療法士が行うテニス動作の評価項目(例)
評価項目 | 目的・理由 | 目安 |
---|---|---|
肩関節外旋可動域 | サーブやストローク時の可動域チェック | 90~120°(左右差小) |
胸椎回旋可動域 | 回旋動作の質と速度に影響 | 45°以上 |
股関節内旋・外旋 | 踏み込み動作、方向転換に必要な可動性 | 内外旋ともに35°以上が望ましい |
体幹スタビリティテスト | 回旋動作中の軸の安定性 | 片脚立位でのバランス保持 30秒 |
片脚スクワット | 下肢の連動と筋出力の左右差、フォーム安定性の確認 | 左右同程度での動作制御が可能 |
機能改善に向けたトレーニングプラン(例)
● コア&体幹回旋強化
- デッドバグ回旋バージョン:10回×2セット
- プランクローテーション:30秒×2セット
● 股関節モビリティ&安定性
- ヒップオープナー(動的):10回×左右
- 中殿筋バンドウォーク:横歩き15歩×2セット
● サーブのパワー連動性強化
- メディシンボール・ローテーショントス:10回×左右
- スクワットtoプッシュプレス:5kg×10回×2セット
よくある障害と予防のポイント
障害名 | 原因 | 予防・改善策 |
---|---|---|
テニス肘(外側上顆炎) | グリップ圧過剰/手関節伸展過剰 | グリップ調整、手首〜肩の動きの連動性を改善 |
腰痛(回旋+伸展型) | サーブ・バックの体幹過回旋/腹筋弱化 | 腹横筋・多裂筋強化、胸椎と股関節の可動性アップ |
足関節捻挫 | ストップ&ダッシュ時の足部不安定性 | 足底筋+腓骨筋トレ、バランスボード練習 |
まとめ|科学的フォーム改善がパフォーマンスと長期競技人生を支える
- ✅ テニス動作は「キネティックチェーン(運動連鎖)」の最適化がカギ
- ✅ バイオメカニクスを理解すると、技術だけに頼らない再現性の高い動きができる
- ✅ 理学療法士による評価を通して、ケガを未然に防ぎ、競技力を最大化できる
🎾 今すぐできるアクション!
- ✅ フォーム動画をスロー再生でセルフ分析
- ✅ 可動域チェックや片脚スクワットで弱点を発見
- ✅ 週3回の機能トレーニングで身体の使い方をリセット
テニスのパフォーマンスアップには、筋力だけでなく持久力も必須です。
体力向上のためのトレーニング方法をご紹介👇