理学療法士トレーナーのタツです。
2009年〜理学療法士(整形外科分野)、2012年〜理学療法士&パーソナルトレーナーをしています。
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はじめに
「歩くと股関節が痛い」、「前かがみになると鼠蹊部がズキズキする」、「お尻の奥が常に重だるい」
このような症状は、単なる疲労ではなく筋骨格系のトラブルのサインかもしれません。
本記事では、理学療法士の専門知識に基づき、股関節痛や鼠蹊部痛、殿部痛の主な原因・評価ポイント・科学的根拠に基づいたリハビリ方法を解説します。
症状を放置するリスクや、正しい対処法まで網羅的にご紹介します。
股関節・鼠蹊部・殿部の痛みの主な原因
1. 変形性股関節症(OA)
中高年に多くみられる関節疾患で、軟骨の摩耗により股関節に痛みが出る。
特徴:立ち上がり・歩行時に鼠蹊部〜太もも前面が痛む
診断法:X線検査(関節裂隙の狭小化)
2. 股関節インピンジメント(FAI)
関節内の骨形態異常により、運動時に骨同士がぶつかることで痛みを生じる。
若年層やアスリートに多い。
特徴:深くしゃがんだときや股関節を内旋させると鼠蹊部に鋭い痛み
検査:FADIRテスト陽性(屈曲・内転・内旋時の痛み)
3. 梨状筋症候群
梨状筋が坐骨神経を圧迫し、殿部や太もも裏に痺れや痛みを生じる。
特徴:長時間座った後に殿部が重だるく、坐骨神経痛に似た症状
評価:SLRテストやPaceテスト(外旋筋の抵抗テスト)
4. 鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)
サッカーなど切り返し動作の多いスポーツで多発。
腹筋・内転筋群のバランス不良が原因。
特徴:運動時や咳・くしゃみで鼠蹊部がズキンと痛む
原因:腹直筋・内転筋群の筋力低下または柔軟性低下
症状別のセルフチェック方法
チェック内容 | 方法 | 疑われる原因 |
---|---|---|
股関節の開きに左右差がある | 仰向けで足裏を合わせて膝を開く | 変形性股関節症、FAI |
足を組むと痛みや違和感が出る | 椅子に座って脚を組む | 梨状筋症候群、FAI |
片足立ちが困難 | 姿勢が不安定になったり、痛みが出る | 股関節周囲筋の筋力低下 |
歩くと前側または後側が痛む | 数分歩行後の違和感 | 股関節症・神経圧迫症候群 |
股関節の痛みのタイプ別リハビリ方法(理学療法士推奨)
① 変形性股関節症へのアプローチ
- 関節可動域訓練(ROM):股関節屈曲・外旋のストレッチ
- 体幹・中臀筋トレーニング:骨盤の安定性を高める
- 負荷軽減:杖やインソールの使用も有効
② FAI(インピンジメント)への対応
- 股関節のモビリティ改善:骨盤後傾の矯正と股関節前方のスペース確保
- 可動域制限のある動作の回避
- スクワットやランジのフォーム修正
③ 梨状筋症候群へのセルフケア
- ストレッチ:仰向けで膝を反対側へクロスするストレッチ
- フォームローラー:お尻の筋膜リリース
- 歩行フォーム指導:殿筋群の過緊張の抑制
④ 鼠径部痛症候群のリハビリ
- 内転筋と腹筋の協調トレーニング(プランク+内転)
- 体幹トレーニング:片脚立位でのバランス強化
- サイドステップやドローインを組み合わせた動作訓練
股関節周りの痛みを放置するとどうなる?
- 変形が進行し、人工関節置換術が必要になるケースも
- 神経症状が悪化し、歩行障害や感覚異常に進展
- 腰椎や膝関節に二次的な負担がかかり、連鎖的な痛みに
→ だからこそ、早期評価と早期介入が非常に重要です。
まとめ|股関節周りの痛みは放置せず、リハビリで早期改善を
- ✅ 股関節・鼠蹊部・殿部の痛みは「変形性股関節症」「FAI」「梨状筋症候群」など多岐にわたる
- ✅ 痛みの部位と動作時の特徴を観察し、的確な評価がカギ
- ✅ リハビリでは、可動域改善・筋力強化・姿勢調整が基本戦略
- ✅ 痛みが続く・悪化する場合は、整形外科での画像診断と理学療法士による評価を推奨
🎯 今すぐできるアクション
- ✅ 座ったままできるお尻ストレッチを1日3回実施
- ✅ 股関節周囲の筋力と柔軟性のバランスをセルフチェック
- ✅ 痛みがあるなら自己判断せず、整形外科または理学療法士に相談
◎変形性股関節症についての詳しい記事はこちら👇