理学療法士トレーナーのタツです。
2009年〜理学療法士(整形外科分野)、2012年〜理学療法士&パーソナルトレーナーをしています。
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はじめに
「腕が上がらない」、「夜間の痛みで眠れない」――その症状、五十肩(肩関節周囲炎)かもしれません。
放置すると可動域制限や慢性痛に進行するリスクがある一方、正しいリハビリを行えば6〜12か月で改善するケースが多いです。
本記事では理学療法士の視点から、五十肩の原因・経過・治療法・安全なリハビリ方法について、科学的根拠と共に解説します。
五十肩(四十肩)とは?|正式名称と病期の理解
五十肩とは、正式には肩関節周囲炎と呼ばれ、40〜60代を中心に発症します。
筋肉・関節包・滑液包・靭帯などが炎症を起こし、強い痛みと関節可動域の制限を生じる疾患です。
五十肩の3つの病期
病期 | 期間目安 | 特徴 |
---|---|---|
炎症期 | 発症〜2〜3か月 | 夜間痛が強く、動かすと激痛 |
拘縮期 | 3〜6か月 | 痛みはやや軽減、動かしにくさが顕著 |
回復期 | 6か月〜1年 | 徐々に可動域が改善し、痛みも軽減 |
五十肩の原因とは?|なぜ起こるのか
原因①:加齢による腱板・関節包の変性
腱板や靱帯が加齢で柔軟性を失い、小さな損傷でも炎症を引き起こすリスクが高まります。
原因②:肩を動かす頻度の低下
デスクワークやスマホ操作などで肩関節の可動域が狭まる生活が、発症を促進します。
原因③:糖尿病・甲状腺疾患
代謝異常によって組織の修復力が低下し、炎症が長引きやすくなるため注意が必要です。
自分でできる五十肩チェック|早期発見がカギ
以下のチェック項目に1つでも当てはまる方は、早期に理学療法士や整形外科医への相談をオススメします。
✅ 夜寝ている時に肩がズキズキ痛む
✅ 腕を真上に上げると90度以上挙がらない
✅ 腰の後ろに手が回らない
✅ 痛みが出てから2か月以上改善しない
※整形外科ならどこでも良いというわけではありません。肩の専門医がいて、リハビリに力を入れている整形外科を選択しましょう。
五十肩の治し方と治療法|時期別の対処が重要
【炎症期】は「動かさず冷やす」
- アイシングと消炎鎮痛薬(例:ロキソプロフェン)で炎症と痛みを抑える
- 無理に動かさないことが重要(肩甲骨を中心に痛くない範囲で動かす)
【拘縮期】は「温めて軽く動かす」
- 温熱療法(ホットパックや入浴)が有効
- 可動域訓練を無痛範囲で開始
【回復期】は「積極的にリハビリ」
- ストレッチ+筋力トレーニングで可動域と筋機能の回復を目指す
理学療法士が教える!五十肩のオススメリハビリ法5選
※痛みがある場合は無理をしない。拘縮期〜回復期の方に推奨
① テーブルスライド(屈曲)
方法 | 効果 |
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テーブルに手を置いて前方に滑らせる動作 | 肩の前方可動域を改善 |
② タオルリーチ(内旋)
方法 | 効果 |
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タオルを背中に回し、上下にスライドさせる | 腰に手が回らない制限を解消 |
③ 棒体操(外転・外旋)
方法 | 効果 |
---|---|
杖や傘を使って腕を補助しながら動かす | 他動運動で可動域を安全に広げられる |
④ ペンデュラム(振り子)運動(初期に有効)or コッドマン体操
方法 | 効果 |
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前かがみになり腕をぶら下げ、振り子のように動かす | 関節への負担が少なく、初期の可動回復に有効 |
⑤ チューブ外旋運動(回復期に)
方法 | 効果 |
---|---|
ゴムチューブを使って肘90度で外旋する動き | インナーマッスル(肩の安定性)の強化 |
放置はNG!五十肩がもたらすリスク
- 放置すると関節が硬くなり、永続的な可動域制限が残ることも
- 肩以外の動作(背中を洗う・着替え)にも支障
- 慢性痛化すると、精神的ストレスや睡眠障害にも影響
まとめ|五十肩は正しいリハビリで改善できる
◆ポイントまとめ
- ✅五十肩は3つの病期があり、それぞれで治療法が異なる
- ✅炎症期は安静・冷却、拘縮期は軽い可動域訓練、回復期は積極的なリハビリ
- ✅棒体操・ペンデュラム運動・チューブ運動などが効果的
- ✅放置せず早期に専門家へ相談し、自己流リハビリは避ける
◆アクションを起こそう!
- まずは肩の動きのチェックをしてみよう(上がる?回る?)
- 夜間痛が続く場合は整形外科へ受診を
- YouTubeやSNSの誤情報に惑わされず、理学療法士の指導を受けて正しいリハビリを
- 週2〜3回、無理のない範囲でリハビリを継続してみよう
また、五十肩は予防がとても重要です。
五十肩にならないように、普段から姿勢を気を付けたり、身体が固まらないようにしっかり動かしたりしておきましょう。
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